今回の風来坊は、重いです。
テーマも、文章も、市井の人々の表情も。
シリーズの最初では、面白おかしく登場した風来坊も、最近はとぼけてばかりではなく、いろいろ考えさせてくれるようになりました。
今回は、世の中の理不尽さに対して、胸を掻きむしるような悔しさと怒りと悲しみが描かれていて、その合間に悲しいながらも人のことを想う美しさも垣間見えます。
大人には、胸に迫るものがある絵本です。
我が家では、子ども達は最後まで静かに聞いてはいましたが、もう少しわかり易かった『風来坊の子守歌がきこえる』ほどの反応はありませんでした。
多分、とりあえずは平等が謳われている現代に生きているので、まだこの本の訴えるものがよく理解できないのではないでしょうか。
歴史なども勉強し、少しずつ視野が広がっていく中で、再度手にとって読んで欲しい本だと思います。