平成になっての初版なのに、高部さんの絵がまるで
復刻本のような印象です。
与謝野晶子さんの文は、古めかしい良さを感じます。
メールや宅配便はおろか電話も珍しかった時代、
女中さんが遠方へお使いに行くこともあったのでしょうが、
かわりに金魚3匹とはなんともシュール。
彼らが乗車する甲武線は、現在も中央線として都内を
走っています。
私事ですが、学生時代から20年間ほど慣れ親しんでいた
路線という点で身近に感じるお話でした。
表紙の上目遣いの赤さんが少しとぼけた表情で、
いい味をだしているのですが、絵本ナビでは空白のまま
紹介されていないことがちょっと残念です。