一度取り替えたものを、惜しくなって後から取り戻すという心理、よくわかります。さるかに合戦もそんな気持ちが発端でしたよね。
大人でも、「しまった」と思ったりするだろうし、子どもは気持ちに正直に行動するので、10人いたら9人は、「これはぼくのものですからね!」と、言ってしまうのではないかしら?
ついつい、きつねはずるいと非難するより、こんな行動に出ることってありがちだよねと思ってしまうのです。
でも、きつねくん、皆を追い出すんじゃなくて、皆と暮らせば良かったのに。「素敵なおうちだよね〜。誰のものだと思う?」なんて言いながら。その方がずっと楽しいと思うけど。
もし、おうちがなくならなかったとしても、あんなに立派で大きな家にたった一人で住むのは寂しいよ。
そんなことを大人はいろいろ考えてしまいますが、子どもは、他の絵本の登場人物が出てくるのが楽しかったり、おうちが生えてくるのが楽しかったりと、ただただ素直にこの本を楽しんでいるのです。