198ページもあって、1日では読めませんでした。トラゴロウの7つのお話が入っています。1965年のお話らしいのですが、こんなお話をこんな時期に書いていたなんてすごいなあと思いました。
子ども向けのお話ですが、子どもにこびるところもなく、トラゴロウが人間を食べてしまうところもサラッと書いてしまうところがです。
私は「きばをなくすと」というお話を佐藤さとる編の「ファンタジー童話傑作選」(講談社文庫)で読んだことがありました。解説に「ハードボイルド」とあって、その時はあまり意味がよくわからなかったのですが、この作品全部を読んでよくわかる気がしました。
「目をさませトラゴロウ」という中篇のお話では、仲間を助けたいというトラゴロウの男気ようなものを感じました。
「一つが二つ」では、きつねが作った「一つのものを 二つにふやす」機械が出てきます。
小沢作品ではうさんくさいきつねがよく出ていますし、発明もよくするのですが、初期作品からすでにそうだったのだと思うと嬉しくなりました。
思慮の足りないところもあるし、純粋な面もあり、好奇心旺盛だったり、エネルギーが強かったりと、トラゴロウが子どもそのものなのかもしれません。
教育的でもなくためになるお話でもありませんが、子どもってみんなトラゴロウが好きなのではないかな?と思いました。ちょっと困ったところもあるけれど、愛すべきキャラクターだと思いました。
息子はこの本をぜひ買ってほしいそうです。