お母さんの背中にもたれかかる男の子と、手に持った何かをいとおしそうに見ているお母さん。
そんな、暖かい表紙の絵に、つい手にとった絵本です。
お母さんが、おもちゃ箱の中をかたづけようとしています。
うちもそうだけど、子供のおもちゃ箱って、いろんなものが入っていますよね。
どんぐりやら、折り紙をくしゃくしゃにしたなんだかわからないものから、お菓子の空箱、何かの切り抜きにいたるまで...
けんちゃんのおもちゃ箱もそうなんです。
でもね、お母さんには、ただのゴミに見える石ころも、けんちゃんにとっては、遠足で拾った大事な石。
小さく切った色紙も、お遊戯会の思い出なんです。
みかんの皮も、キャラメルの空き箱も、みんなみんな、大切な思い出の品。
そして、そんなけんちゃんを見て、ママも、ふと思い出したものがありました。
それは、赤ちゃんだったけんちゃんが最初にはいた小さな靴。
今はもう小さくてはけなくなってしまったけれど、捨てられない大切な思い出の品。
誰にでもありますよね。
”捨て魔”の作者と、一方”とっとく魔”の娘。
「捨てたら?」「とっとく」の繰り返される毎日から生まれたのが、このお話だそうです。
どの心のおもちゃ箱も捨てられない思い出でいっぱいになりますように、という作者のあとがきに、うんうんとうなずける絵本です。