長いこと私の書棚に入れていました。
作作者のドナルド・ホールさんが、語り継がれた昔話(19世紀初め)を作品にしたそうです。
1620年、イギリス人が、入植をしたアメリカ北東部ニューイングランド地方が、このお話の舞台です。
先住民との闘争もすみ、入植時から200年ほど先の、生活の安定し始めた頃のお話だそうです。
ある入植者何世かの家族をモデルに、一年の生活スタイルが描かれています。
家族総出で、作れるものをつくり、換金し、生活に必要なものを得る生活。
皆、自分のできる範囲で精一杯労働しています。
家族が一年をかけて生産したものが、荷車に積まれ、父によってポーツマスまで売りに出されます。
家族がお互いの労働をねぎらい、協力している様子の中に信頼関係がうかがえます。
“働かなければ、得られぬ事”を、こどもたちも生活の中で体得しているのがわかります。
「かえで砂糖」というのを見て、メイプルシロップのままでは売られていなかったのかと驚きました。
父が買って帰ってきた鍋で、ニューイングランド生まれのスープ、クラムチャウダーが煮られるのでしょうか。
秋になると、カナダ国境より紅葉前線が南下し、カエデやブナをはじめ、たくさんの木々が赤、黄、橙になり、現在も観光スポットになっているところですが、この木版に描くという技法の絵で、今よりもっと美しかったであろう紅葉が見事に描かれていて感動しました。
さて息子は、「エコな生活だな。お父さんは一人で売りに行くのか〜。」と、ついて行きたそうでした。