同じ作者の「ちいさなあなたへ」が、とても好きだったので、本屋さんで手に取りました。
私は、小さいときから絵を描くことが好きだったし、絵本を読むことも好きでした。
でも。
大きくなると、自分がいちばんうまいんじゃないことに気づきました。
もっとうまい子なんてたくさんいるのです。
それを知ったとき、絶対にかなわないって思ったとき・・・描けなくなりました。
だから、ワシテの気持ち、よく分かります。
上手に描けるかどうか、誉められるかどうか・・・いろいろ考えすぎて、手が動かないのです。
周りの大人の評価や対応で、子どものやる気って簡単にしぼんでしまうのですね。
ワシテの先生は、真っ白なままの画用紙を見て「ふぶきのなかの ほっきょくぐまね」なんて、とてもユニークです。
ワシテは反発して「やめてよ!」なんて言っていますが、
ワシテの描いた「てん」に、先生はサインを求めます。
その「てん」が、額に入れて飾られ、展覧会まで開かれて・・・
ワシテはどんどんやる気になっていきます。
そして、かつてのワシテのような男の子にも、「サインして」と励まします。
先生がしてくれたように。
こうやって、いい連鎖がつながっていくなんて、とてもステキです。
みんながみんな、展覧会を開けるほど評価されるなんてことはないのだろうけど、大事なのはそこじゃないですよね。
自分に自信を持つということ、ありのままの自分を出せばいいのだということ、自分にできる精一杯を出し切ればいいのだということ。
それを教えてくれる絵本だと思います。
私も、子どもができた今は、絵を描くこともなくなり、もっぱら絵を見る側です。
まだ2歳の息子なので、ぐちゃぐちゃと線を引いて「ちょうちょ!」って言っていても、
「上手だね。天才!」なんて言ってあげれていますが、
ワシテくらい大きくなっても、この先生のように言ってあげられてるだろうか・・・って考えてしまいました。
「大きくなったんだから、このくらい上手に描けるはずだ」なんて期待しすぎてしまわないように、
時折この絵本を読み返して自分を戒めたい、と思いました。