私も『ないたあかおに』といえばこの本です。手元にあるのは実家から持ってきたもので、昭和41年発行、定価290円です。今でも絶版にならずに出ているのが凄いですね。
まず、言葉遣いの丁寧なところがとてもすきです。声に出して読んでいても、とても心地良いですね。昔はこの「〜でありました。」という言い回しの絵本が結構あったような気がします。耳から入った時にとても暖かい感じがします。
あかおにとあおおにの絵も素敵。あかおにはちょっと下ぶくれの四角い顔で濃い灰色の髪。あおおにはシャープな三角形の顔で金髪。この違いでも、両者のキャラクターの違いがしっかり出ていて面白いです。(非常に蛇足ですが、私の高校1年時のボーイフレンドの第1印象は「あおおにに似てる」というものでした。まさにアバタもエクボだったのですが。)
そして、あかおにの幸せを思って姿を消すあおおにの気持ちにも泣かされますが、あおおにを心から信頼しているあかおにの気持ちも純粋です。お互いを思いあう友情の素晴らしさがヒシヒシと伝わってきます。
5年生で読み聞かせしましたが、水を打ったようにシーンとしていました。この友情の素晴らしさを感じてくれたかどうかはわかりませんが、この素晴らしい絵本の存在を知ってくれただけでも良かったと思っています。