持ち主の裁量で耕して剪定して作り上げた土地の上に佇む小さいお家、自然のリズムに逆らうことのない生活、バージニア・リー・バートンの描いた田舎の景色は日本のものではないけれど、森林の占有面積が広くて四季の明瞭な日本に住む私たちには容易に想像できる心地よい在り方、小さいお家は、その心地よい在り方を自らの意思に関係なく失ってしまいます。持ち主の子孫と小さいお家の絆に感動し、モノを大切にする気持ちを知り、そして心地よい在り方への回帰に安堵する、そういう絵本でした。小さいお家に人を重ねると、今の社会制度ではできない回帰なので、かえっておとぎ話のような、手に届かない美しさと憧れを感じました。