お話自体はいろいろなお話会で
「ストーリーテリング」
として聞いていました。
なんとも不思議なストリーです。
一人っ子のアンナは
「7人の兄がいて、カラスにかえられてしまった」
ことを知り、助け出そうと旅に出ます。
世界の果てまで歩いて、太陽や月、お星様に出会います。
普通、太陽も月も「美しい」「やさしい」ものとして
絵がかれるのが多いのですが、
このお話では太陽も月も悪者扱いです。
絵本とは違いますがストーリーテリングでは
「太陽は小さな子供たちをむしゃむしゃ食べてました」
というバージョンもありました。
お星様達はやさしくて、アンナは明けの明星に
「ガラス山」に入る鍵をもらいます。
そして中にいる兄さん達を助け出します。
簡単に書くとこんなストリーですが、
いったいどういう発想でこのお話を作ったんでしょう。
グリム兄弟が採集した昔話とのことですが、
勧善懲悪的なお話でもないし、
韻を踏んだ詩的な文章と言うわけでもなく、
短いながらも「予想のつかない」展開です。
ブライアン・ワイルドスミスの絵も不思議なタッチです。
絵の好き嫌いは分かれるところがありますが、
お話に負けじと微妙な、ちょっと形容しがたい色使いです。
小さい子向けではありません。
絵本の入り口、入門としても不向きです。
絵本中級者以上向けに、絵本の幅を広げる一冊として、
こんなのがあっても楽しめると思います。