月夜の海で、くじらの坊やが母さんくじらに聞いています。「お月さまってどれくらい大きいの?」「お月さまはどれくらい重たいの?」 お母さんの答え方がユニークです。でも、「どれくらい遠いの?」と聞かれた時、お母さんは父さんくじらを思い出しました。坊やが小さい頃、シャチの群れから家族を守るため海の底に沈んでいったきり帰ってこなかったのでした。月日は流れ、大きくなった坊やが父さんくじらを探しに旅に出ることになりました…。
戸田和代さんの文章と沢田としきさんの絵の相性が絶妙です。坊や、母さん、父さんのそれぞれの思いが痛いほど伝わってきて、胸を締め付けられました。父さんに大きな力をもらった坊やが意気揚々と旅を続けていく姿に、読んでいるこちらまで元気をもらいました。