『おまえうまそうだな』に今ひとつ乗れなかったので、それほど期待しないで読んだのですが、すっかり裏切られました。そう、とても良かったのです!
前半では、父と母の愛情がたっぷりと注がれるのですが、それが骨の髄まで子どもに染み渡っていて、子どもが一人立ちしてから窮地に陥ると、いつも父や母が自分にしてくれたことや教えてくれたことを思い出し、対処していくのです。
口うるさく言うのではなく、行動と愛情で子どもに伝えていく・・・親と子の関係はこうありたいものです。
また、最後のティラノサウルスの悲しみが心に突き刺さります。プテラノドンのこは、ある意味ティラノを看病して元気にさせたという達成感があるかもしれませんが、ティラノサウルスは、感謝の気持ちを告げる機会も与えられないのです。そして自分が決してプテラノドンを獲物などとは思ってなくて、一個人として対等に向き合いたいと思っていることを告げる機会も。
子ども達にもこのしみじみとした感じはしっかりと伝わったようです。
5年生の娘は読んだ直後に「なんだかいい。ジーンとした。」と言っていました。小学校でも1,2年生に読んできましたが、皆どんどん前に乗り出してきて、すっかりお話に引き込まれた様子でしたよ。