サラ・スチュアート、デイビッド・スモール夫妻による1998年のコルデコット賞オナー賞受賞作品。
舞台は、1930年のアメリカ。
1929年の大恐慌を引きずった景気低迷下の経済状況は程度の差こそあれ、今の日本と似ています。
主人公のリディア・グレース・フィンチは、両親とおばあちゃんと暮らしている大のガーデニング好き。
そんなおり、父さんが失業してしまい暮らしが厳しいことから、リディアは、パン屋を営むジムおじさんのところで仮住まいすることになります。
殺風景なパン屋でしたが、リディアは持ち前の明るさを持って接し、花で埋め尽くしていきます。
決して笑わないジムおじさんを、笑わせようとリディアは試み、あっと驚くサプライズを準備していくのです。
リディアが両親とおばあちゃんに宛てた手紙が、全ての文章になっているので、リディアの心が写し出されていて、本当に感情移入してしまいそうになってしまいました。
ジムおじさんは、結局一言も発していないのですが、きっと、リディアの行為が心に花を咲かせたと思われるエンディングも秀逸です。
最初は暗かった風景も、花が増えるにしたがって明るくなっていく様は、見ていて心地よいものでした。
何度も読み返したくなる、そんな心温まる作品で、特に女の子にとって受け容れられる作品だと思います。