作者の自伝的作品。
第二次大戦後、1949年にチェコスロバキアで生まれた作者は、
社会主義の教育や統制を受け、育つのです。
絵の好きな少年、というごくごく普通の子どもすらにも影響する社会環境が描かれます。
ほとんどモノクロの線画のような絵に、共産主義の赤色が鮮明に映えます。
そして、冷戦。
象徴的な壁(THE WALL)の存在感を体感できそうです。
自分史の中に踏み込んでいるイデオロギーの重みを実感させられた思いでした。
ところどころにちりばめられた絵や写真は、おそらく作者のものです。
これは資料としても価値があるかもしれません。
歴史的な背景がわからないと難しいので、世界史まで理解できる年齢でないと難しいでしょう。
とても読みごたえのある作品でした。