今年の夏の課題図書だったと思いますが、読み始めて主人公の少女が13歳、厳格な母親との間に心理的な隔たりを感じているということがあり、中学年よりは高学年もしくは主人公と同じ年齢の中一ぐらいが心理的な面でも共感しやすいのではと思ったのが第一印象です。
作者名を見るとマイケル・モーパーゴ。『モーツァルトはおことわり』を読んだことがあります。社会的な問題を描く作家という印象でした。
題名と表紙から飼っている子羊との間に何かがあるということは予測できます。
口蹄疫がイギリスに少しずつ影響が出始めて、最初対岸の火事であったのが、ほんの3キロの農場までやってきたということで緊迫感を増していくのを感じました。
宮崎県でも口蹄疫の問題があったことを思い出しますが、流通が盛んな時代に起きた食料に関わる問題ということでは、私はどうしても今の放射能汚染のことが頭をよぎりました。
何かあった時に深まる家族の絆。
深い悲しみ、理不尽なことがあっても、私たちは毎日生きているし生きていくしかない。
口蹄疫のことは身近に起らなくても、これから先誰の身にも理不尽でやりきれないことは起こり得る。
そう考えた時に、分岐点に何を思いそこから何を得て生きていくのかを考えさせられました。