りんご園から少し離れたところに
1本だけりんごの木があります。
その1本のりんごの木のお話です。
そのりんごの木は青い屋根の家の
すぐそばに立っています。
その青いの家には
おじいさんとおばあさんが住んでいて
その二人は毎日丘の上のりんご園に出かけます。
私もりんご園に連れて行ってください
そう言っても二人には聞こえません。
りんご園では年中人がいます。
春は花は咲いてミツバチが飛んできます。
夏はトンボを追いかけて子供達がきます。
秋はりんごの実をからすたちが食べにきます。
りんごの収穫もしてもらえません。
からすにりんご園に行きたいと頼んだら
協力してくれたんです。
からすは一生懸命枝を引っ張ってくれましたが、
木が動くことはありませんでした。
ただりんごの実がぼとぼと落ちただけです。
そして春がきました。
一年もの間、ひとりほっちで耐えたりんごの木。
ここまで読むととても切ないお話です。
でも春になったらりんごの木にも
望みができました。
からすにお願いしたことが
よかったかもしれません。
おばあさんたちも気づいたようです。
よかったです、本当に。