表紙を見てまず「何の本?」という疑問が起こります。
夏から秋へと季節が移り変わるある日、お百姓のベイリーさんが車で男の人をはねてしまうところからお話は始まります。男は記憶を失っていました。ベイリーさんの家で「名前のない人」はしばらく一緒に暮らすことになり、農場の仕事を手伝ったりして、次第に家族となじんでいきます。しかし不思議なことに、ベイリーさんの家の回りだけは、まるで季節が止まってしまったかのように木々は紅葉しないのです。やがて、その人の去る日がやってきました。
右のページにはパステルで描かれたオールズバーグ独特の絵が、左のページには文が出ています。ムダのない美しい言葉でつづられているので(さすが村上春樹)、ぜひ音読してみてください。
11才の長男は「この男は季節をつかさどる何者かなんだな」と読み終わってつぶやいていました。高学年〜大人向き。ショートムービーのような一冊。