私からみても「なんてレトロな...」と思うような、懐かしく暖かいふたむかしくらい前、な印象の挿絵が逆に新鮮でした。
おなかがすいて食べ物がなくて外は大雪で、という大変な状況のなかで、登場する動物たちは、みつけたかぶを自分の今後ためにとっておくなどとは微塵も考えないのです。
こんな天気の中、友人もきっと困っているだろう。と、寒い外へ出ておすそわけに行きます。そして、みんながみんな「そっと」置いて帰るのです。
誰かが喜ぶことをしたいと思うことは誰にも日常あることだと思いますが、そういう自分の行為や気持ちに対して『ありがとう』といってくれなくてもいい、喜んでくれさえすればいい、自分がしてあげたことだと気づいてもらえなくてもいいとまで思えることは少ないと、自らを省みて感じました。
相手のことだけを思いやり、そっと行ってこそ「しんせつ」と言えるのかもしれないと思わせてくれる絵本でした。
娘がこのお話をずっと憶えていてくれたらなと思います。