ランドセルブックスシリーズ、なかなか良いですね。
この作品で3冊目ですが、読み聞かせから一人読みへと子どもたちが自然に移行できる素敵な作品ばかりです。
梶山先生の絵が日本の民話調の作品にピッタリで、ファンです。
さて、このお話は現代のものですが、やっぱりラストで梶山先生が絵を担当されたのに納得しました。
こむぎちゃんのお兄ちゃんが上手に孵した金魚の赤ちゃんを町に住む従姉妹のあゆみちゃんにあげる為、お兄ちゃんと電車に乗り込みちょっと楽しい小旅行。
のどかな山間を背景に電車はゆっくり進みます。
窓から草や木の匂いを載せて入ってくる五月の風の爽やかさも伝わってくる素敵な絵です。
途中、山の駅を過ぎたあたりで一両電車に現れた、様子の可笑しい車掌さん。
「切符を拝見」じゃなくて、「お荷物を拝見」なんですって。
素直に荷物を広げて見せる乗客たちの荷物の中身に、少々クスリ。
とうとう、こむぎちゃんたちのところまで車掌さんがやって来て、・・・。
なんとも不首尾な化け具合の山猫くんではありましたが、この尻切れ感が昔話を髣髴とさせる楽しさがあります。
山猫がこむぎちゃんと交わす会話のシーンだけ、もう一度読んでみましたが、ご馳走を前にした浅はかさがなんともやっぱり愉快でした。
シリーズのほかの作品に比べお話も長めですし、季節は5月となっていますが、金魚が登場し主人公も半袖の洋服ですから、平仮名読み慣れた夏休みの頃に1年生には薦めたい作品です。