長い時間が経つと、道具には魂が宿る。
それが、つくも神。
小学校5年生のほのかが、マンションのゴミ置き場のボヤ騒ぎをきっかけに、つくも神と出会い、物語が始まります。
ほのかは、この世代の女の子が持つであろう悩みを抱えています。
物語の進行とともに、ほのかの心がゆっくりと綴られます。
人間の悪意、ずるさも描かれていて、読んでいて心が痛くなる部分もあるけれど、たどりつく出口(エンディング)は、穏やかで希望に満ちていています。
つくも神や、隣のおばあちゃんの家の様子が、とても細かく、活き活きと描かれていて、清潔な空気や、湿気や、匂いまで伝わってきます。岡本順さんの挿絵もとても素敵。岡本さんの描くカエルは最高です。
*作中のおばあちゃんのセリフ、「こわい人だねぇ」に、ほっとしました。