まゆとやまんばの春の始まりのお話です。
このシリーズは、季節感があって、その都度、山の様子や行事を垣間見ることができて楽しいです。
雪で真っ白の山に、一筋の雪解け道が走っているのを、「春のりゅうが出た」と言い、お酒の支度をして本物のりゅうを迎えるなんて、素敵な山の風習ではありませんか。
降矢ななさんの描くりゅうは、簡略化したものでなく、堂々としたりゅうで、迫力がありながらどことなくユーモラスな雰囲気も持っています。
生まれたばかりらしいりゅうの子どもも、オドオドした感じが出ていて、新人らしく新鮮です。
そして、りゅうとやまんば、子どものりゅうとまゆ、それぞれに友情が生まれていて、自然の中で暮らすもの同志が、お互いを信頼し合い、認め合いながら、共生している様子が窺えます。
可愛らしさの中に、しっかりと自然を謳い上げていて、好感が持てる作品になっています。