子どもの心の中に存在するファンタジーの世界のおはなし。泣き虫の、ちいさなくまと、「おにいちゃん」のぼく。子どもはみんな自分よりも小さな子の前にくると、ぐっと勇気を振り絞って、こわいのもさみしいのも我慢して、おにいちゃん、または、おねえちゃんになろうとがんばりますよね。普段お母さんに見せる甘えん坊の表情とは別に、そんなときの我が子は、いたいけなほど愛くるしく映ります。よるくまのために一生懸命おかあさんを探してあげるぼくは、まさに「おにいちゃん」の顔そのもの。そして、よるくまのおかあさんに会えて、安心しきった顔で眠るぼくとよるくま。子どもの寝顔ほどかわいいものはありませんね。娘は、最後のページでいつも「あっ、パープルのよるくまじゃない!ほかのくまさん?おかあさんも、ちがうおかあさんだよ。よるくまのおかあさんのてじゃないよ!さっきは、よるくまのおかあさんだったのに。なんで?」と、不思議がります。「あかちゃん」と「おねえちゃん」の両方の顔を見せてくれる3歳の娘の今を、親としてもうちょっとだけ長く楽しんでいたいな、という気持ちで本を読んでいます。