くまのプーさんの翻訳で有名な石井桃子さん。
日本の子どもの本の世界で、たくさんの大きな宝を残してくださいました。
この本は、終戦直後、東京から離れて北国の山でされていた、石井さんの開墾生活が舞台。
トムというのは、そこでネズミ退治のために飼われていた猫の名前です。
トムや同居人とのユーモラスな生活の様子から、石井桃子さんという人の、温かで大らかな魅力が伝わってきます。
また、日々の生活の些事を一つ一つ大切に過ごしていくなかにも、面白いこと、豊かなことがたくさんあって、素敵だなと思えます。
石井さんが1957年と1968年に書かれたあとがき、実際のトムの写真、「山のトムさん」と同時代・背景の短編「パチンコ玉のデポちゃん」も収録されています。
石井桃子さんのファンの方だけでなく、多くの方にお勧めしたい一冊です。