NHKの、みんなのうたで発表された「まっくら森のうた」を、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
歌のもとになった、「まっくら森」が絵本になりました。
ー夜になってもくらくならず、空には星や月すら見えない。人はつかれているのに、ねむろうとしない。ぼくがまっくら森を見たのは、そんなふしぎな町を旅したときのことだー
お話は、主人公のモノローグから始まります。
なにもかも白っぽい町に足を踏み入れた主人公。建物も人の体も消えかけているのに疑問をかんじます。
不思議なことに、誰もそのことを不思議だと感じていないのです。
白い町の中で、たった一つ黒い、石を見つけたぼく。
でも、それは町の人たちには見えない。
この石のことを語るのは、ただ一人、「まっくらさん」だけ。
ぼくは、彼を追いかけます。
彼はいったいなにもの?
そして、この町に、夜はやってくるのでしょうか。
とても不思議な世界です。
静かに広がる絵と文章は、夜のようにやわらかい。
極上のファンタジーです。
ただ、子供にはちょっと難しかったようですね。
「長いねえ」といわれました。
やめる? と聞いてみたところ、「やめないで」という返事。
どうやら、絵が相当気に入ったようです。
正直なところ、少々アニメチックではあるのですが、
読んでいくうちに、この独特の世界感にすっかり包まれてしまい、
ちっとも気にならなくなりました。