とんぼとりって昭和40年代の小学生には、妙に懐かしいものなのではないでしょうか。
この話にも、文章通り読むとちょっと残酷かと思われるセリフなどもありますが、当時の普通の少年達は、こんなことをいっぱいして成長してきたように思います。
私も小学生の時、同級生の男の子達がとんぼを捕まえて、中味を抜いたりしているのを見たことがあります。
今は生命の大切さを説くために、すべての生き物に愛情をもって接しましょうという教え的なものがあり、昆虫の標本さえ残酷だと言うきらいがあります。
昆虫に対してのこういう行為がいいのか悪いのかは別として、本来は、子どもなんてこういうことをいっぱいしながら、そこから生命の尊さを学んでいくものなのではないでしょうか。
この本を読みながら、昭和時代の匂いを感じると共に、そんなことを考えてしまいました。
目先の倫理にとらわれずに、淡々と少年達の日常を描ききった長谷川集平は、やっぱり凄い作家です。