自動車好きの娘のために、乗り物の絵本ではなく、今度は物語としての本格派絵本を用意してみようと思って取り寄せた一冊です。絵本ナビやonline書店での評価が比較的高く、かつ、二歳代前半の子供にも受け入れられそうな雰囲気の絵だったので選びました。吹き出しこそありませんが、コマ割りがあったりすることで、「漫画のようだ」との若干批判的な意見も聞かれるところがちょっと気になるところではありますが。
バスや電車の絵本のような劇的なものではないですが、まったりとしたブームが比較的長く続いた一冊で、出だしから数ページ分の文章を暗記し、初めて自分で『朗読(のようなこと)』をするなど、我が家にとっては記憶に残る絵本です。小さな子供でも憶えられるテンポの良い文章だということなのかもしれません。
ストーリーは上手くオチが用意されていたり、お風呂でオナラといった子供ウケする部分もあるなど、親子で楽しめるものとなっています。また、文章そのものも、それぞれのコマに合わせて一行、二行、長くて三行にまとめられていることから、小さなお子さんが一人で読むのにも適しているのではないでしょうか。
絵は非常に丁寧で、個人的にはお気に入りの部類に属するものです。また、主人公たちの動きとは別のところにも、サブ・ストーリーを背負うかのように小さな登場人物たちの動きが描かれています。こちらを追うのもまたこの絵本の楽しみの一つかと思います。もちろん、こうしたサブ・ストーリーの展開は読み手のアドリブで、ということになります。
しっかりしたストーリーがあるので、きちんと読み聞かせができるようになるのは三歳以後かもしれません。実際、娘も当初物語よりも絵に惹かれているような部分が見受けられました。
我が家でももう一度、この絵本をきちんと味わうことができる二次ブームが到来する日を願ってやみません。