田舎の駅のありふれた日常を描いています。その描き方にとても細かい配慮があります。雪の日であることが、さらに膨らみを見せてくれました。
言葉なしの絵本だから見る側に任されている部分が多いのですが、同じ佐々木潔の『なつのおわりのうみは…』に比べると、ディテールへのこだわりが多いだけに淡々とし過ぎているように思いました。
田舎の駅。
今ではあまり見かけないタブレット方式。
単線で、上り下りの入れ替わりのある駅。
この駅員さんは、雪かきをしたり、通る列車のタブレットを交換したり(タブレットの色が変わっているところがポイント)、客車に乗る人たちと話したり、貨物車の荷物の受け渡しをしたり、合間には駅舎の中で何かしている様子まで見せてくれます。
朝早くから夜遅くまで働いているので(駅舎の中の姿も見せてくれます)、ひょっとするとこの駅舎で生活していたりするのでしょうか?
駅名をさりげなく隠れるようにしているのですが、いろいろと細かい配慮があって、間違い探し状態になってしまう可能性もある絵本です。
言葉のない絵本ですが、ぬくもりを感じる絵本。
ですが、『なつのおわりのうみは…』で感じた心の描写に対して、淡々としている分余韻が少し少なかった分星ひとつ減らしました。
佐々木さん、ごめんなさい。