おおかみのじろきちは拾った女の子を食べようとしますが、うしのまんさくとっつあんに大きく育ててから食べた方が得だと言われ、三年育ててから食べることにします。そして三年後、食べるものがなくなってきた冬の夜・・・
版画の挿絵が素晴らしいです。女の子の世話をするうちに殺伐としていたじろきちの表情が柔らかくなり、無表情だった女の子にも笑顔が見られるようになります。花柄の布団や小さなわらぐつにも優しい愛情が感じられます。
この本を初めて読んだのは上の子が5歳、下の子が1歳の時、上の子と同じように下の子も愛せるのだろうかと密かに悩んでいた頃のことでした。この本からただ一生懸命育てれば愛情は湧いてくるのだと教えてもらった気がしました。そして実際その通りになりました。何度読んでも暖かな気持ちになる本です。