絵本の多様さには驚かされるとともに感心する。
絵本にならない世界なんてないのではないかと思ってしまうくらいだ。
この『しにがみさん』という絵本は「らくごえほん」とあるとおり、古典落語の演題である「死神」を野村たかあきさんの手で絵本に仕上がったものだ。
実は「死神」という落語にはいくつかのオチがあって、この絵本で使われているのが柳家小三治によるバージョンということで、「柳家小三治・落語「死神」より」と表紙に記されているのだ。
調べると、そもそもこの落語「死神」は明治時代に活躍した初代三遊亭圓朝が創作したもので、そのもとは「グリム童話」の一篇だというから、まんざら絵本の世界と縁がないわけでもなさそうだ。
物語はある日死神にとりつかれた男が病気の人のそばにいる死神の位置でその人の病がいえるかそれとも死んでしまうかわかることを、死神から教えられる。
その悪知恵でもって医者といつわりお金もうけをする男は、とうとうやってはいけない、死神をだますことまでしてしまう。
怒ったのは死神。
男を地獄に連れていき、一面のろうそくが点る世界を見せる。
このろうそく、命の灯がともっていて、今にも消えそうなろうそくが男のものだという。
さてさて、この男、最後はどうなるのか。
この最後のオチが色々あるというから、落語の世界も面白い。
そういうことを子供たちに話してあげると興味がますかもしれない。
案外落語家にまけない爆笑もののオチを考えついたりするかもしれない。