動物画の第一人者として知られる薮内正幸さんの作品なので読んでみました。
表紙の装丁は、お馴染のどうぶつを描いたものと同じだったのですが、内容は一寸趣が異なります。
最初の見開きに、
「くるみを たべたのは だれ?」
とあって、くるみの殻があります。
次ページは、
「くるみを たべたのは ねずみ」
と解答があって、この繰り返しです。
いつもなら、安心して読み続けられるのですが、直ぐに食物連鎖の内容になり
「ことりを たべたのは だれ?」
という問いになります。
自然界をそのままに描いたと言えば聞こえは良いのですが、対象年齢は、3歳からとある絵本ですから、内容に疑問が残ります。
特に、薮内さんの絵は、あまりに精緻なので、その絵がリアリティを持ちすぎてしまっています。
小学生向きの科学の絵本ならいざ知らず、どうぶつを中心にした絵を描かれているのですから、木の実とか穀類に限定した内容にして欲しかったと思います。
意見は分かれるところですが、万人に受け容れられる絵本ではないことは間違いありません。
他の薮内さんの作品と同じ期待をしない方が良いと思います。