この絵本に描かれているシランさんの生活は、決して他人事ではありません。
ごく普通に生活して、人の苦しみについてはどうしてもよそのことにしてしまっている自分です。
ところがある時、突然と身に覚えのない理由、理不尽な理由で不幸が訪れたらどうなるのだろうか。
かさをささないことを、思想統制の拠り所にする辺りは痛烈です。
シランさんは、今まで身近にいた人から切り捨てられます。
ごく日常にあった人間関係のもろさに、とても恐怖感を感じます。
シランさんの知らない人たちから、支援のメッセージが届きます。
この本がアムネスティ活動から発信している故です。
しかし、シランさんには届かないような話で終わっているような気がします。
カバーを見ると、この絵本は苦労の結果の産物ようです。
伝えたいことを、如何に伝えるか。
伝わったかどうかは良く分かりませんが、とにかく痛烈な物を感じて心に残りました。
この絵本での発見は、いせひでこさんの絵です。
今まで、絵に心象風景を象徴的に描いた作品を見てきたので、これほどストレートな絵を見てびっくり。
いせさんの絵もグサリときました。
子どもには少し高度かも知れません。