影を擬人化して登場する物語はいくつかあありますが、
この本は「くらやみ君」が主人公アルフィの話し相手として現れます。
くらやみがどこへ行くか…
考えたこともなかったので、頭に小石が当たったような衝撃でした。
夜中にふと目を覚まし、「このくらやみは明るくなったら、どこに
行っちゃうんだろう?」こんなことが気になって眠れなくなる
アルフィ。
自分の存在に気がついてくれたこと、友達になってくれると言う
言葉で喜びいっぱいのくらやみ君。
どこかへいくのではなく、見えなくなるだけ。いつでもどこにでも
いるという。
宇宙だって同じ。
太陽が出ると月や星は見えなくなる。でも無くなることなく
そこにはいる。
何だか哲学的。しかも仏教で言う『空』まで連想してしまいました。
でも、子供たちにそんな深読み必要ないですよね。
明かり君にはたくさんお友達がいるけど、くらやみ君はみんなから
怖がられて寂しかった。おともだちが欲しかった。
この物語で暗やみが怖くなくなる子が少なくなればよいと願いますが、
ル・カインの挿絵のくらやみ君はちょっと怖い。
もう少しお茶目に描かれていれば、良かったのにと思います。