扉絵の女の子が本を小脇にはさんで、無邪気にはにかんでいる表情に温かいものを感じました。
主人公の女の子トリシャ5歳。
トリシャは、 読む、書く、計算の習得と使用に著しい困難を示す状態のLD(学習障害)でした。
小学校生活の中で、苦しみ彷徨するトリシャのつぶれてしまいそうなちいちゃな心。
読んでいてトリシャに気持ちを重ねていました。
ラッキーな出会いであったと思います。
フォルカー先生は、観察力・共感能力の高い実に繊細な心の持ち主ですね。
また、きちんとLDを認識し、根気強くトリシャに向き合っています。
文字が読めることの喜び。
トリシャの世界が、無限の可能性と共に広がっていくことを思わせるラスト前のページで、泣いてしまいました。
それにしても、トリシャという人物のベースには、あのおじいちゃんの儀式、おばあちゃんの詩的な星の話など、こよなくトリシャのパーソナリティ ーそのものをあるがままに受け入れ、愛してくれた家族の深い愛がしっかりと根付き育っていた事が解ります。
エンディングに驚き、二人の再会に感動しました。
息子は、このような障害を抱え悩んでいる子どもの存在を初めて知り、再読していました。
中・高学年のお話し会で、読んでみたいと思いました。