1960年代ごろまで、アメリカでは、白人以外の肌の人種差別が存在していたのです。
日本ではなかなか理解できないだけに、身近なエピソードのこの作品は、
子どもたちにもわかりやすいと思います。
作者の知人であった黒人男性のエピソードを基に、彼と孫との会話ふうに展開していきます。
彼が若い頃、パン工場ではパン生地にも触らせてもらえなかったのです。
その手の色が故に。
彼は仲間と一緒に抗議し、ついには、その権利を勝ち取るのです。
だからこそ、今では孫に自慢できるほどのたくさんのことができる手。
そして、しっかりと孫に受け継がれた手の技。
油彩画を練り消しゴムで消すという独特の画法で描かれ、
独特の風合いのある絵ですが、とても力強さを感じます。
孫にとっても、読者の子どもたちにとっても、
当たり前に出来ることがエピソードとして取り上げられているので、
共感できるように思います。