ルピナスさんは、子どもの頃、アリスという名前で、海辺の町に住んでいました。おじいさんはいろいろな国に行ったことがあり、アリスは、おじいさんの絵を描く仕事を手伝っていました。
「私も大きくなったら、遠い国に行く。そして、おばあさんになったら、海のそばの町に住むの。」
と話をすると、おじいさんは、
「世の中を、もっと美しくするために何かをしてもらいたい。」
と言いました。
ルピナスさんの生き方は、ひとりの女性として、とてもりっぱだと思いました。ルピナスの種をまき、きれいな町を作っていく様子が、きれいな色遣いで表現されていて、ページをめくるのがとても楽しみでした。色とりどりのルピナスの花の色を使って、ルピナスさんの年齢とともに絵の色調に変化があるところも、粋な計らいでしょうか。
ひとりの女性の生き方を通して、『生きる力』を伝えてくれる、内容の深い絵本です。