絵のインパクト、迫力に押され読んだ作品。
突然そらから降ってきた「あんまん」・・・
それをめぐったアリたちの汗と感動の壮大な物語である。
まず絵がなんと汗臭いこと!
これが驚くことに魅力なのである。
毒々しげな色彩と濃いキャラクターや食べ物、
それらがにおってきそうな暑苦しさ、汗臭さ、テンションの高さ。
それがまた、アリ達、作者達のアツいアツい情熱を感じさせ、
読み進んでいくと、いつのまにかどっぷりと
その世界に浸かってしまう。
アリたちの、あんまんを巡るドラマは、さながら
プロジェクトXのように展開されていく。
そして、読者も、アリのアツい気持ちがシンクロしたところで、
「えぇぇぇーーーー?!」と思わず声を一緒に
あげてしまいたくなる展開。
「ヤラレタ…!」となるのだが、
その現実のアリたちの受け止め方に、
なぜか納得させられてしまう。
爽快感に似た潔さを感じるのである・・・。
甘いものばかり食べていると、
しょっぱいものも食べたくなる。
綺麗な絵本ばかりを求めていた私への
スパイスとなったと言える。
自身は絵本をあまり読まないパパにも、
「こんな面白いのがあるよ」とすすめたい絵本。