『渋澤龍彦 堀内誠一 往復書簡』(晶文社)を読んでいたら、その中に堀内誠一さんが著名人に送った『パリからの手紙』という本があることを知りました。
堀内誠一さんからの手紙には、スケッチも添えられていて、個人的に絵日記を書くを代わりに、大切な人たちに手紙を書いて旅の様子やパリでの生活で思ったことを伝えるというのが、堀内さんのスタイルだったのだなあと思いました。
手紙ですから、その方との関係や伝えたいことも自ずと違ってきて、その文面からも堀内さんの人柄が感じられます。
堀内さんの生前にこの企画はあったようですが、堀内さんがその後亡くなったこともあり、巻末には谷川俊太郎さんの堀内さん追悼の詩や、安野光雅さんの追悼文が載っています。
特に、安野さんの追悼文にある「堀内さんは、私」という言葉は「自分のことを一番よく理解し、ほんとうにわかってくれるのは堀内さんだけだ」と周りにいた皆さんが思われていたということらしく、こんなところからも皆さんから好かれていた堀内さん像が浮かび上がってきます。
堀内さんが瀬田さんに出された最後の手紙からは、遠い場所から瀬田さんの病状を思いやる気持ちが伝わって来ました。
手紙も堀内さんの一つの作品であったのだなあと、堀内さんの軌跡をたどっているとそんな風に思います。
手紙は絵本関係者が多いので、堀内さん好きな方、絵本好きな方にもお薦めです。