動物達の書く手紙が、絵本の中ではとても小さく描かれているものの、一つ一つ読んでみると、どれも自筆ならではの温かみがあり、切手らしきものも貼ってあったりして、それぞれの思いが詰まっているのがうかがえて楽しいです。クスッ笑えるものもあったり。
そんな動物達が一生懸命書いた手紙を、誰が郵便屋さんとして運ぶか決めるのですが、自ら立候補したねこ、リス、犬は、それぞれ失敗をしてしまい、反省している悲しげな姿が愛らしいです。その失敗も、その動物の性格や本能ならではといった感じで微笑ましいんですけどね。
そして、自分も郵便屋さんになりたいなと思いながらも、そばで見ていた控え目なこまどりに、取りまとめ役のかめが声をかけて、こまどりは立派に郵便屋としての仕事をこなします。適材適所、見ている人はちゃんと見ていてくれる、そして、きちんと仕事をすれば、みんなに喜んでもらえる、それは、控え目なわが子達へのメッセージのようで、とてもうれしく思いました。
こうもとさちこさんの描く動物達が表情豊かで愛らしく、このお話の舞台である庭が表紙裏(裏表紙裏にも)に描かれていて、お話を読みながら、この手紙はここに届いたのねぇなどと、見渡せるのも良かったです。