ホラー小説の皆川博子さんの初絵本。
その内容を宇野亜喜良さんが、いかにも宇野さんらしい幻想的でちょっと不気味なテイストで包み込んだ絵本です。
お姉さんのマイマイと、親にも見えないほど小さな弟のナイナイのお話。
マイマイは白馬に右目をつぶされたり、クルミの殻に弟のナイナイをこもらせたり、なにかフロイトかユングならば象徴性を語るような意味深そうな断片が出てきます。
右目に収められたクルミの中から、ナイナイは「夜のゆめ」を引きずり込んで、マイマイを悪夢の世界に連れ込みます。
それだけではなく、マイマイの心はクルミの中に閉じ込められてしまって、閉ざされてしまいます。
夢ならば早う覚めてほしいと思いますが、マイマイは(マイマイの体を借りて作者は)何かを語ろうとしているように思います。
「怪談えほん」とのことですが、怖さだけで読む絵本ではないような気がしました。