副題に「第二次世界大戦化のオランダで」とあります。
表紙カバーの見返しに織り込まれた部分と、作者の後書きに、このお話の解説が載っていました。
このお話に紹介されているオランダのスピードスケートの競技『エルフステーデントホト』は、実際に公式で行われているレースですが、お話そのものは、作者が念入りに下調べをして作り上げた創作だそうです。
詳しくは本文の物語と、その解説を読んでもらえばわかりますが、
直接大戦に参加していなかったオランダでも、
当時はこういう恐ろしい疑惑による逮捕や処刑があったんだろうと推測されます。
それをホントにうまく『エルフステーデントホト』競技にあこがれる男の子の話としてまとめられているので、戦争の話ですが、あまり胸に来る重たさはありませんでした。
ミキ・ダリーの絵が、オランダの小さな町の風景や、運河の様子、子どもたちの不安なスケート移動の様子を見事に描いてくれていて見応えがありました。
少々文章は長めです。
高学年以上なら読み聞かせもできなくはありませんが、個人的には絵をじっくり時間をかけてみてほしいし、物語の内容も繰り返し読んでほしいので、ブックトークという形で、子どもたちに紹介できたらいいなと、思いました。
高学年事情、中学生・高校生のお子さんたちに、
出来れば戦争のブックトークのカテゴリーではなく、色々なスポーツ競技のおはなしの1つとして、紹介してみたいです。