さて、ニルスの旅の下巻です。こちらは最後の挿し絵を入れて526ページありました。
ただでさえ長い作品でですが、本文だけでなくぜひぜひ!邦訳者の菱木晃子さんの後書きまでじっくり読んでください。
ここまで読めば、ますますニルスの物語とスウェーデンという国の魅力にハマること間違いなし!です。
ニルスは自分の家で飼っていたガチョウのモルテンと一緒に旅をする。というイメージが強いですが、お話の中でモルテンとだけいるシーンは意外と少なく、モルテンが仲間に入れてもらったガンの群れのアッカ隊長や、ワタリガラスのバタキや、ワシのゴルゴ(両親が死んでひとり残された雛だった時、アッカ隊長に育てられたワシ)の背に乗って旅していることも多かったです。
このアッカ隊長は、とてもカッコ良かったです。
いつも前を向いていて、長(オサ)らしくみんなを守り導き、仲間にとてもあたたかいですが、情にだけ流されるようなところはなく、自分にも仲間にも自然の中で生きていくからこそのルールを常に最優先するガンでした。
そんなアッカに育てられたワシのゴルゴもすごくカッコ良くて、おなかがすいても「ガンだけは食べない」と決めているいいやつでした。
後半(下巻)はスウェーデンの北の地方を旅して、ガンたちの故郷〈産卵する場所〉ラップランドでのことが描かれているのですが、
ラップランドでの出来事は、ガンたちのことよりもむしろニルスと知り合いだったガチョウ番のオンサ〈姉〉とマッツ(弟)、それに家族を捨てて一人出て行ったふたりの父親との物語が描かれていました。
動物たちや自然のことだけでなく、人の世界の物語もしっかりと描かれているのに、ゴチャゴチャした感じはなくて、とても読みやすい物語でした。
何度も言いますが、とても分厚い長い物語ですが、読み始めると内容は読みやすく面白いです。ぜひぜひ、小学校中学年くらいから中学生・高校生の皆さんに読んでもらいたい作品です。