冬の最後の雪の日のおはなしです。
「ゆきは とけるものなのです。
とけて きえてしまうまで すてきなものを ごらんなさい。
たくさんたくさん ごらんなさい。」と冬の女神。
「やだぁ、ぼく、とけたくない…」とゆきんこ。
風にとばされたゆきんこくん、『さいごにとける場所』を探して旅に出ます。
「みんなと同じ場所でとけるなんていやだ!」というゆきんこくん。
やっとみつけた場所は、とてもとても素敵なところ。
結果として、ゆきんこくんは弱っていた子猫ちゃんをたすけることになります。
でも、このゆきんこくん、この子猫ちゃんのためとか役に立ちたいとかって
そんなことは考えてなかったんじゃないかな。
ただ自分がこうしたい!!と思っただけ。
子猫ちゃんや男の子やお父さんも、誰もきづいてはいないんだけど、
でも、人知れず誰かの役に立っている。
それって、とても素敵なことだなって思いました。
「おめでとう!!」って言葉がピッタリです。
人への思いやりや親切って、押し売りだったり自己満足だったり、
悪気はなくてもちょっと迷惑なものになってしまったりすることもあるけれど、
こんなふうにさりげなく誰かの役に立てたらいいですね。
たとえまわりにそうと気づいてもらえなくても。
「ただ自分がこうしたいから」って気持ちは思いやりの本質なのかなって思いました。
こどもたちにも、そんなことを少しでも、なんとなくでも感じてもらえたらいいなと思い、3年生の読み聞かせに使ってみました。
みんな静かに聞き入ってくれました。
お話自体は簡単なお話なので、もっと低学年や幼稚園児でも楽しめるでしょう。
絵もとっても素敵なんです!!
きれいな色彩で、ポストカードにしてもよさそうなかわいらしさ。
冬の最後のお話ですが、読み終わったあとの心はとてもあたたかい余韻に満たされて、
もうすぐ春って季節にぴったりの本です。