福島の原発事故が起きた年が、チェルノブイリ事故から25年ぐらいだったと思います。
ひとたび原発で事故が起きると、その周辺が住めなくなるばかりでなく、食品への影響と、何年後かに起きる健康被害が起きることを私たちはチェルノブイリから学んだはずでした。
でも、チャルノブイリで起きたことがまさか日本でも起きる、起きた後にどう生きていくかまで思いを馳せた人は少なかったと思います。私もそんな一人です。
おばあちゃんのうちにやってきたカリーナ。祖母の住む国はベラルーシです。美しい自然に囲まれていますが、見えない放射能に生活は脅かされているのです。
カリーナは祖母と住むことはできません。放射能のことをこの本の中では悪い魔法使いとしていますが、放射能のためです。
母は病気でカリーナと離れて暮らさなければなりません。読んでいてとても胸がしめつけられるというのか、親として子どもたちに何ができるのかを考えました。
震災から一年経ちましたが、まだ福島原発事故は収束していないことを思うと、ここに描かれていることは人ごととは到底思えませんでした。
チャルノブイリや福島から離れて暮らしてはいても忘れてはいけないこと、考え続けていかなければならないことがまだまだあると思うのです。