「わらしべちょうじゃ」といえば、最初は何の価値も無い一本のわらしべから、他の人と交換していくうちに、最後は大金持ちになるというお話で、その物がどんどん変わっていく様子に、お話の面白さがあります。
でも、物語をよく読んでみると、主人公の男は決してより良いものが欲しくて交換していたわけではないことに気付きます。
あぶの付いたわらしべも、みかんも、何かと交換したいからではなく、純粋に相手のことを思って差し出した。馬だってそう。
その見返りを期待しない綺麗な心の持ち主だったからこそ、観音様もお告げをくれ、幸せになることが出来たのではないでしょうか。
おまけの「しおふきうす」も、正直者の弟には幸せが、いじわるな兄には不幸せな結末が待っています。心したいものです。
西村さんの挿絵も、お話とよく合っていて、安心して読める昔話絵本です。