親を失った子供が、一人で生きている。
昔話だとよくある設定ですが、今では考えられません。
そんな設定が成り立つような状態が、昔にはあったのだということに、まず考えさせられるものがあります。
そして、誰からも世話されることなく、悪口ばかり言われる日々の泥かぶら。
読んでいて悲しい気持ちにならずにはいられません。
転機が訪れ、泥かぶらがひたむきな姿勢で村の人達に接する様子は、見ていて苦しい、けれど、変わりたいと願う人間の強さを感じます。
そして、心の底から人間が生まれ変わっていく様は、本当に素晴らしいものでした。
物語が終わっても、泥かぶらの人生は続いていくでしょう。
けれどきっと、真っ当で幸せなものになるでしょう。
そんな未来を予感させる、晴れ晴れとするラストでした。