東日本大震災以降、変わったことは何だろうと考えた時に、福島がカタカナでフクシマと表記されるようになり、ナガサキ、ヒロシマと並列して語られるようになったこと。
失われた故郷、ゴーストタウンになった町。
この本の湿地にも原発建設の声が上がり、それに反対しペティグルーさんという女性の言葉に、「楽園を地獄に変えようとしているんですよ」という胸に突き刺さる言葉がありました。
20世紀が自然破壊と共に開発と技術革新の時代だったとして、私たちはそこから何を得、何を失ってしまったのか?
あの3月11日以降に起きた原発事故により、私たちが何も変わらないのだとしたなら、それは歴史から何も学ばなかったことになってしまう、そんな風な感想を持ちました。
「発展の代償だと、連中はそういうだろうよ。だがオレにいわせれば、大はじだね」という作中の言葉もやはり胸に響きました。
もうじき震災から二年経ちます。児童書ですが、多くの人にもう一度今何が大切なのかを問い直すために読んでいただきたい本です。