他サイトで「名作」との評判を見たので、ためし読みで10歳の娘といっしょに読んでみました。
ところが、のぶみ氏の他の作品と比べると、かなり内容が薄く、がっかりしました。
絵もかわいらしいとの評判でしたが、けばけばしい色使いや、鳥の脚が生えたような肉の絵があるなど、気持ちの悪いものでした。怒ったぶたまんじゅうの顔の描かれ方があまりに気持ち悪く、幼児向けの絵本ではなく、小学生位を対象としているかのようでした。
この本は他の氏の作品と比べ、良くも悪くもあまり心を動かされることがないような気がしたため、「名作」との評判を不思議に思いました。
唯一、ナンバリングされたたくさんの卵が描かれた場面は、「楽しそうだね」と感じられる場面でした。しかし、ただそれだけです。幼児向けの雑誌にあるような、そこの見開きだけで成立する企画ものの方が良いような…一冊の絵本にすることで、その前後に余分なページがくっついているとすら感じました。
この蛇足感は何だろうと思いつつ読んでいたのですが、ラストに近いところの主人公ムーフの「生まれてきてくれてありがとう」というセリフでまさにそれを強く感じました。その言い方があまりに唐突で、私はポカーンとしてしまいました。なんの脈絡もなく発せられたセリフのため、白々しく、言わない方がマシ、としか思えませんでした。
表紙だけ見るとそうでもないですが、絵の不気味さは他の作品に勝っているかもしれません。不快な絵が多いです。
最後のシーンを見た娘が一言「乳房雲みたい…」と、呟きました。空一面に広がる不気味な乳房雲…あれを連想したのかと…。確かにこのページが一番不気味でした。