モーパーゴの初期の作品ですが、人間愛と問題意識は今の作品につながる基礎をしっかりと感じさせてくれました。
捨て子の赤ん坊につけられた名前はビリー・バンチ。
人の愛情を知らないまま育っていきます。
そのうえ吃音は周りのクラスメイトからも先生からも馬鹿にされます。
そのビリーが心を許せたのは親を失った子白鳥。
その子白鳥が育っていくと、親を失い一人ぼっちになった子ギツネが唯一の友だちとなります。
文章にあるようにビリーも子ギツネそのものでした。
里親から逃げ出して、子ギツネとの流浪の旅。
暗い物語だと思っていたら、少年は人の愛を学び、子ギツネを野生に戻す転機がおとずれました。
最後まで読むと、氷のような世界が人の愛情で溶けていきます。
なんで絶版なのでしょう。