ももちゃんが丈夫になるようにと、おばあちゃんが紙のおひな様で体をさすって川へ流すと、川底から緑の手がすーっと伸びてきて、ももちゃんのおひなさまを持って行ってしまいます。ももちゃんは、必死で川の中まで追いかけます。
おひなさまを持って行ったのは、河童のお父さんでした。我が子の病気をおひなさまに治してもらおうと思ったのです。ももちゃんは、おひなさまで、その子の体をさすって流します・・・。
人の形をした紙の人形で体をなでて、それを川に流すことで汚れを祓い、災厄祓いを願ったという『ながしびな』の伝統をベースに、お話はどんどんふしぎな世界へと展開していきます。
おひなさまには興味のない 我が家の息子たちにも、おひなさまと河童という取り合わせは新鮮だったようで、おおいに楽しんでいました。この発想、さすが内田麟太郎さん、と感服します。
山本孝さんのはっきりした絵と色使いも、ひなまつりを題材にした絵本としては珍しいと思います。