欧米の作品を読んでいてよく思うことですが、小さな子向けの読物でも子どもの自立ということがテーマの作品が多いように思います。
この作品の対象は2・3年生になっていますが、テーマは自立です。
12歳になった小人のリックは、一人で旅に出て大人の仲間入りをするという試験を受けることになります。
読んでいて感心したセリフの一つにリックの体が小さいことを心配いるお母さんに大おばさんが言う「たしかにすこし小がらだけど、でも、気もちのほうは、ほかのどの子にもまげず、しっかりしていますよ。そとのせかいでは、このことのほうが、だいじなのです」でした。
親は自分の子どもに対してはどんな時にでも心配がつきまとうものですが、心の成長を的確に周りの大人が見ていることはとても心強いことですし、周りの大人だけでなくやはり親も心の成長の方を常に見ていたいものだと思いました。
幼年童話で短い内容なのですが、大人になるということはどういうことなのかがきちんと記されており、その点も感心しました。
今はもう図書館でしか読めなくなっている本かもしれませんが、幼年童話として、見直したい一冊です。